Saturday, April 22, 2006

古語:仮名序

「やまとうたは,人の心を種として,」
  和歌は,人の心を種として,
「よろづの言の葉とぞなれりける.」
  いろいろな言の葉となったものだ.

「世の中にある人,事・業しげきものなれば,」
  世の中にいる人びとは,言葉や振る舞いがさまざまだから,
「心に思うことを,見るもの聞くものにつけて,」
  心に思うことを,見るもの聞くものごとに,
「言ひいだせるなり.」
  表現している.

「花に鳴く鶯,水に住むかはずの声を聞けば,」
  花に鳴く鶯,水辺にいる蛙の声を聞けば,
「生きとし生けるもの,」
  生きとし生けるもののなかに,
「いづれか歌をよまざりける.」
  歌を読まないでいるものなどいるだろうか.
「力をも入れずして天地を動かし,」
  力を入れずに天地を動かし,
「目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ,」
  目に見えない鬼神をも哀しいと思わせ,
「男女のなかをもやはらげ,」
  男女の仲をも和らげて,
「猛き武士の心をもなぐさむるは,歌なり.]
  勇猛な武士の心をも慰めるのは,歌なのだ.


古今集:University of Virginia

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